マレーシアは日本人の海外移住先として、近年絶大な人気を誇ります。日本のとある組織のアンケート調査の結果ではなんと13年連続でロングステイの希望国の1位に輝いています。(詳細は以下のリンクからどうぞ。)
そんなマレーシアにロングステイ・移住するためには当然ビザが必要で、大きく分けて、就労のための「Employment Visa」、修学のための「Student Visa」そして一般にリタイアメントビザと言われる「MM2Hビザ」の3つがあります。(実際には6種類の就業関連のビザを含めて全体で10種類あります。)
MM2Hとは、【My Malaisai 2nd Home】の略で、一定の条件を満たせば、最長10年間マレーシアで暮らせるビザです。一応10年後の延長も可能だと言われています。(言っているのがマレーシアのお役所ですので。。。MM2Hビザ保有者の自国運転免許のマレーシア運転免許の書き換えも2019年は一時停止されたりしています。)
そこで、今回はマレーシアに駐在員として10年近くの滞在経験があり、家内と娘たちがマレーシア人であるぼくが、マレーシアのリタイヤメントビザのMM2Hについて詳しく解説していきます。
また、本記事での円換算での金額は2020年1月26日現在での換算レート(1RM=約27円)をベースにしています。ご了承ください。
MM2Hビザの申請条件
上記では「MM2H」はマレーシアのリタイヤメントビザと説明しましたが、退職者限定のビザではありません。つまり申請に年齢制限はありません。永住権の取得がかなり難しいマレーシアでは、その代わりの役割を果たしているのかもしれませんね。
50歳を境に条件が異なるので、それぞれのケース毎に説明します。
50歳未満の場合
- 国籍:マレーシアと正式な国交がある国の国籍保有者であれば申請できます。もちろん日本人であれば問題ありません。
- 年齢:年齢制限はありません。
- 財産証明:50万RM(リンギット)の財産証明が必要です。(円換算で約1350万円)
- 収入証明:月1万RMの収入証明が必要です。(円換算で約27万円)
- 定期預金:仮承認受領後、30万RMをマレーシアの金融機関に定期預金する必要があります。(円換算で約810万円)
50歳以上の場合
- 国籍:マレーシアと正式な国交がある国の国籍保有者であれば申請できます。もちろん日本人であれば問題ありません。
- 年齢:年齢制限はありません。
- 財産証明:35万RMの財産証明が必要です。(円換算で約945万円)
- 収入証明:月1万RMの収入証明が必要です。(円換算で約27万円)
- 定期預金:仮承認受領後、15万RMをマレーシアの金融機関に定期預金する必要があります。(円換算で約405万円)
申請条件まとめ
申請時のネックになるとすれば、財産証明、収入証明と仮承認後の定期預金でしょうか。また、定期預金は2年後以降であれば、医療費、住宅の購入、同行した子弟の教育費目的であれば、50歳未満であれば15万RM、50歳以上であれば5万RMを上限に引き出しが可能です。
MM2Hビザのメリット・デメリット
メリット
- 10年間の長期において滞在できる
- 年齢・学歴・語学力に制限がない
- 家族を帯同できる
- マレーシアに居住する義務がない
- パートタイムの仕事ができる(条件付き)
- マレーシアの銀行に口座が開設できる
それでは、上記の事例につき一つづつ簡単に解説していきます。
10年間の長期において滞在できる
これはマレーシアに限ったことではないのですが、東南アジアの国では法律や規則が突然、なんの事前連絡もなしに修正されることがよくあります。その意味では、10年間の滞在が保証されているMM2Hビザはありがたい存在です。
ただ、10年後の再延長については、その意味では保証の限りではない(ここでいう保証とは申請して承認されるかどうかではなく、この制度が存続しているかどうか)ので、10年間以上の滞在を望むのであれば、MM2Hの有効期間になんらかの手(永住権、自分で法人を立ち上げる等)を打つべきかもしれませんね。
年齢・学歴・語学力に制限がない
MM2Hの大きなメリットとして、学歴による制限がないことが挙げられます。これなどは、申請に年齢制限がないのに関わらず、リタイヤメントビザと呼ばれる所以なのかもしれません。
家族を帯同できる
配偶者、21歳歳未満の未婚の子供もしくは60歳以上の両親を帯同することができます。日本人の平均年齢が伸びて、人生100年が言われて久しい今日、定年後であっても両親の面倒をみることは十分考慮に入れるべきですね。マレーシアに移住後、両親の面倒・介護の必要が発生した場合、両親をマレーシアに呼べることは一つの保険として重要だと思います。
年を老いてからの海外移住は色々と大変な面もあるでしょうが、クアラルンプールであれば、医療機関はしっかりしたところが存在すること、また、お手伝いさんなどは日本とは比べられないほど安価に準備できること(言葉の問題はありますが)を考えると、十分考慮に入れるオプションかと思います。
マレーシアに居住する義務がない
他国のMM2Hに相当するものの条件を詳しく調べたわけではないのですが、例えばシンガポールの永住権(PR)の場合、REP(再入国許可証)を5年ごとに更新しなければいけないのですが、その時の条件の一つに、シンガポールで納税していることがあります。単純に比較はできないですが、その点、MM2Hは制約が少ないと言えます。
パートタイムの仕事ができる(条件付き)
年齢が50歳以上で関連官庁が専門的な知識・技能が必要な専門職と認めた場合は週20時間以内でパートタイムでの就業が可能です。
マレーシアの銀行に口座が開設できる
MM2Hの取得によりマレーシアの銀行に口座を開設でき、日本の銀行利子と比較して高い金利の恩恵を受けることができます。ただし、リンギットでの預け入れの場合は円との為替リスクを考慮する必要があります。
デメリット
- 申請に時間がかかる
- 毎年手数料がかかる
- マレーシアの官庁は規則を予告なしに改正する
- フルタイムで就労できない、もしくは全く就労できない
申請に時間がかかる
MM2Hの申請に限った話ではありませんが、マレーシアのお役所仕事はゆっくりしていて、日本でのそれを期待していると、フラストレーションが溜まります。そんなこともあり、資料集めから計算すると1年ぐらいはかかると思われます。
申請もそうですが、東南アジアの後進国で暮らすには寛容さが大切です。細かなことで怒っていては、こちらの体と精神が持ちません。
申請手数料が高額で、毎年手数料がかかる
実際の申請は専門のエージェントにお願いすることになると思うのですが、目安として申請代行費用、諸経費を含んで、単身で25万円、夫婦で32万円ほどかかるようです。また、ビザ取得後、毎年270RMかかります。
マレーシアの官庁は規則を予告なしに改正する
近年では、外国免許のマレーシア免許の書き換え手続きの停止(現在、MM2H保養者に関しては、手続きを再開済み)のように、マレーシアの官庁は急な規則の改正を行う傾向があります。そのためにも、日頃の心の準備と心に余裕を持つことは大切です。
フルタイムで就労できない、もしくは全く就労できない
基本的に50歳未満はMM2Hビザでは就業できません。50歳以上に関してはメリットのところで述べた通り、条件付きで週20時間までパートタイムでの就労可能です。
MM2Hビザの申請方法
NN2Hの申請は非常に複雑で、かなりの種類の書類を準備しなければならず、専門知識を必要とするため、個人での申請は難しいと思います。ぼくも海外で長期に渡り海外駐在していましたので、一般の日本人よりは英語や海外の仕事のやり方に精通しているつもりですが、それでもやはり、実際に申請するときは専門のエージェントさんにお願いすることになると思います。
まとめ
日本人の海外移住先(ロングステイ)一番人気のマレーシアの長期滞在ビザ(リタイヤメントビザ)MM2Hの解説でした。
この記事が皆さんの今後の人生設計の一助になれば、こんなに嬉しいことはありません。
最後までお付き合い、ありがとうございました。さようなら。
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